| 羊の解体 |
| 日没近くに、ソガラ氏の母親のゲルに着く。玄武岩の岩場の東側に2つのゲルと石囲いがある。周囲には羊の群れとラクダがいる。 ゲルの横では女たちによってすでに羊の解体がはじめられていた。羊は皮を剥され、しかし血は一滴も出さずに解体される。彼らは大地を血でけがすことを極端に嫌う。 ゲルで生活する人たちにとって、訪問客はめったにない。そのため、我々のような訪問客には最大の歓迎をしてくれる。その歓迎の形のひとつが羊料理である。我々は彼らのゲルの近くにテントをはり終えて、ゲルを訪問した。
ゲルの壁には馬の皮でつくられた大きな袋がかかっていて、中学生くらいの女の子がそれを木の櫂で時々撹拌している。その袋の中には馬のミルクが入れられ、アイラグという馬乳酒がつくられる。彼女が撹袢していたのは、ミルクの発酵を促進させるためであり、この作業は時々だが、休むことなく続けられる。 我々はゲルでの慣習にのっとり、まずアイラグ、スーティ−ツァイ(モンゴル風ミルク茶)、シミンアルヒを飲み、ボーズや乾燥ヨーグルト、ウルムをいただいた。 羊はすべて煮て料理される。もうひとつのゲルで女たちが肉をかまどで煮ていた。モンゴルでは肉は決して焼かないし、香辛料も使わない。魚や鶏の肉、玉子は食べない。それとあまり知られていないと思うが、モンゴルの人は家畜のミルクを生では飲まない。必ずお茶と混ぜて熱したり、アイラグやシミンアルヒとして飲み、チーズやクリームなどの乳製品にして食べる。家畜といっても、牛やヤク、馬、羊、ヤギ、ラクダなどあり、それぞれのミルクや肉でそれぞれの用途にあわせて食品がつくられているらしい。 ボイルされた内臓ができあがった。大きなアルミのたらいに入った肝臓や腸などが、私の前に差し出された。私はおそるおそるナイフで肝臓と腸を少し切って、口の中にほおり込んだ。腸は羊の血が入れられてソーセージのようになっている。あまり気持ちのいいものではなかったので味わう余裕はなかった。 少したって、リブ(肋骨の肉)が出てきた。これはハビラガという。これならばなんとかなる。安心して、1本とってナイフでそぎながら味わいながら食べた。夏の時期にはあまり羊は食べないらしく、久しぶりのご馳走に子供たちは目の色をかえてうれしそうに肉をほうばっていた。 赤い帽子の少年が歌を歌い出した。家族と訪問者で交互に歌を歌って、歌合戦がはじまった。つぎに、昨日と同じくジャンケン大会となり、モンゴル・ジャンケンとそれにつづいて日本のジャンケンで楽しんだ。いっしょにわいわいと楽しんでいる私を見て、ソガラ氏のお母さんが、 トゥンバイヤーは、 |