オアシスと火炎山(8月1日)

オアシス

朝の炎の崖  朝起きると、気分も晴れ晴れとして、炎の崖に登った。すでに崖の上にはメンバーが何人か来ていた。

 朝食のとき、昨晩坂東さんのテントにサソリが入っていたことを聞いた。彼は勇敢にもサソリを払い落として取り去り、静かな安眠を得たという。

 朝食をとり、早々に出発をした。ザクの生い茂るバヤンザクのオアシスには、今年は湖があった。水辺には鳥も多く、湖のなかった前回とは全体の風景がだいぶちがう印象を受けた。ここの井戸水はとてもおいしい水だったが、井戸が壊れて水が飲めなかった。

 北にゆっくりと上がる広大なデプレションを進み、次の井戸の近くまできたが、車で近くまで寄れず給水を断念した。私たちのキャラバンにはもうミネラルウォーターがほとんどなくなっていて、次の井戸まで水はがまんしなくてはならない。

 デプレッションの東側に山地が見える。以前にも2度ほど行ったことのある古生代の地層や花崗岩からなるモシュゲイ山地で、ここには金鉱床がある。トゥメンバイヤーは、今年の6月にこの山地の 630キロ平米の範囲に自分の鉱区を設定したと話してくれた。彼の見積もりによると、ここでは平均 5g/tで、最大13g/tの金の含有量があり、全体で6000tもの埋蔵量があるという。今度彼と会うときに、ひょっとすると彼は大金持になっているかもしれない。


火炎山

 電信柱沿いに北へ進む。まわりにはまるで火炎のような形をした低い山並が見えてきた。その山並みは何列も南北に並んでいて、今まで見てきた風景とは異質な感じがした。トゥメンバイヤーに聞くと、これらの山は新生代の火山活動で噴出した玄武岩でできていて、多数の噴火火口をもって噴出したという。

 モンゴルの中央部には、南北方向に新生代の玄武岩の火山活動があり、これらの火山は北から南に新しい火山が配列しているという。また、これらの火山にはダイヤモンドをともなうものもやストロンチュウムの鉱床もあるという。

 おそらくこれらの火山はホットスポットではなく、北から開いた南北性の断裂に沿って厚い基盤の下の上部マントルからマグマの上昇が起こったものだろう。この南北性の断裂は先カンブリア代の基盤の古い断裂が新生代になってまた開きだしたものと思われる。


「蜃気楼」へ

「草原の国再び」へ