ゴビ横断(7月21日)

恐竜のたまご化石

 朝、ゲルの近くのジュラ紀末〜前期白亜紀の湖にたまった火山灰層の地層を見学し、赤い砂岩の山、アウグウラン山に向いました。この地層は下部白亜系の最上部付近、バルンバヤン層に対比されるもので、扇状地に堆積した礫をふくむ粗い砂や泥からなります。

 昨年までとはちがう場所に移動していたジャミンさんのゲルに寄り、トーラさんの案内で、山の北部に彼が探していた化石の産地に行きました。

 たまごの化石は、私たちの見学のためにすでに2個掘り出されていましたが、その下にも骨化石とたまごの化石が埋まっていました。これらの化石の多くは竜脚類のものと考えられています。この山の化石は、よく盗掘されるそうで、私たちが見学し終ると、トーラさんは化石に砂をかけてかくしていました。


白亜紀のデプレッション

 ジャミンさんのゲルで、ラクダの乳から作ったシミンアルヒとラクダの肉入りスープをご馳走になりました。

 アウグウラン山を横切り北側の台地に向かいました。ここでは、ちょうどアウグウラン山をつくる水平な白亜紀の砂岩層の基盤であるデボン系の砂岩層が出ていて、白亜系との不整合が見られます。

 ソガラさんのゲルからアウグウラン山の間には、ジュラ紀の玄武岩台地やその下のデボン系の基盤がつくる山地、そして幅の狭いデプレッション(平原盆地)があります。もともと、古生代の基盤が中生代後期になって、断裂隆起運動によって山地と盆地がつくられ、そのへこみにジュラ紀の溶岩や白亜系の湖、そして扇状地の堆積物がためてられていきました。

 これから、北でもこのようないくつかの山地と盆地を越えていきます。基盤のデボン系から石炭系は、強く褶曲して台地をつくっています。乾燥したゴビでは、それが露出しています。私たちが南ゴビに来るときに乗った飛行機からは、ちょうどその褶曲した地層の模様や断層などがはっきりと見えて、地質屋全員、窓に釘付けになりました。 


デルゲルハンガイ山へ

 私たちのキャラパン、ジープ2台とミニバス5台(うち2台は食事と荷物専用)、それとゲルを運ぶトラックは、一路北へ向いました。

 昨晩のパーティーの疲れか、ジャミンさんのところの食事で満腹になったためか、轍だけのゴビの道にサスペンションの硬いロシアのジープという悪条件にもかかわらず、車内でみんな心地よく眠れました。

 デルゲルハンガイ山が遠く見えるゴビのデプレッションのまんなかで休憩をとり、さらに北へと進みました。

 デルゲルハンガイ山の北側が今日のキャンプ地ですが、この山の南側にはメイン・モンゴル断層というモンゴルの地質を南北を分ける大きな構造線があります。その北側には後期原生代の地層が分布し、その南側には古生代後期の地層が分布します。


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