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地質調査入門 第3版
柴 正博 著 2009年11月20日 駿河湾団体研究グループ発行
はじめに
私たちのすむ大地のことについて、みなさんはどれほど知っているでしょうか。地面の下や山の中がどのようになっていて、それがどのようにつくられてきたのか。大地の開発や改造、防災や環境保全などの活動を、大地の構成やその変遷の歴史を知らずに行えば、人間は将来に大きなリスクを負うことになります。
地質調査とは、大地がどのような岩石や地層でできていて、それがどのように形成されてきたかを調べるものです。具体的には、山や平地の中で見られる岩石や地層がどのようなものかを調べ、そのデータをできるだけ多く集めて、その連続や重なり方、地形の成り立ちを理解します。地質調査は、地層や岩石の基礎的なみかたができればそれほどむずかしいことではなく、あとは経験と学習で調査の実力が上がっていきます。
私たちは、1974年から学生を中心に駿河湾団体研究グループ(駿河湾団研)を組織し、静岡県の中部にあたる富士川下流から安倍川下流の間のおもに静岡市地域、さらに1990年からは大井川下流から天竜川までの御前崎-掛川地域の地質を調べてきました。駿河湾団研では、構成メンバーが毎年入れ替わる学生ということもあり、先輩と後輩が一緒に調査しながら、地質調査の方法を学んできました。
私は、1987年に『団研マニュアル』という小冊子を作成し、その中で団研のやり方や地質調査の方法について解説しました。また、1991年にその改訂版として、実際に野外調査で役に立つ部分を中心にまとめた『地質調査入門』を出版しました。この『地質調査入門』は学生や教師、実際の地質調査を糧とするコンサルタントの方々を中心に多くの人たちに、初心者向けの地質ハンドブックとして利用されてきました。今回、版を重ね第3版を出版するにあたり、私たちが露頭で対峙する地層がどのようなところで形成されたかを考えるために参考となる『生痕化石』と『地層のみかた』の項目を、いつも調査をともにしている横山謙二さんに図の作成を協力していただき充実させました。
この本は、地質調査の基本と特に地層のみかたを解説したもので、それに加えて私たちの団研(野外地質調査合宿)の方法を述べたものです。私たちのテーマは、駿河湾周辺の新第三紀から第四紀にかけての地層を調べ、地域の地質図をつくり、その地域の大地をつくる地形や地層、地質構造などがどのように形成されたかを知ることです。もし、他の地質時代や火成岩体・変成岩、さらに専門的なテーマをもって地質調査を行う場合には、他の本も参考にしてください。
初心者が地質調査の方法を収得するためには、団研などの野外地質調査に参加することをすすめます。地質調査については、2〜3回の野外調査に参加し、実際に地質調査を先輩などについて行えば、相当習熟します。調査期間はできるだけ全日参加で、連続して参加してください。団研の1回の野外調査では、その中に起承転結の流れがあり、はじめわからなかった地層の重なり(層序)や地質構造が、だんだんと後半になるにしたがって明らかにされ、最終日にまとめられます。その流れの中にいて、はじめて地質調査の方法や醍醐味、そして地域の地質についての理解ができます。
また、ある程度慣れたら、ひとりで地質調査をしてみてください。いつまでも人に頼っていては、自分でなんとかする力や自信がつきません。この本があなたの地質調査の習熟にとって、少しでも手助けになれば幸いです。なお、この本の内容に対して質問などはE-mailでお寄せください。また、内容のバージョンアップ情報など、筆者のWeb pageを参照にしてください。
2009年11月
柴 正博
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