3-2 海浜-外浜システム


  3. 地層のみかた
  1. 河川システム
  2. 海浜-外浜システム
  3. 潮汐干潟システム
  4. エスチュアリーシステム
  5. デルタシステム
  6. 海底扇状地システム

  「地質調査入門」へ戻る

海浜-外浜システム

 外洋に面した波浪の卓越した海岸-外浜(beach-shoreface)で堆積した一連の浅海堆積物は、その水深によって特徴があります。波浪の卓越した三保海岸などで海岸から沖合にかけて海底の堆積物を見ると、前浜から水深約6mまでの海底には礫があり、水深20mまでは砂の海底で、水深が20〜80mまでは砂を含む泥の底質が広がり、それ以深では砂をふくむ堆積物はほとんど見られなくなります。

 このような陸棚域の底質の分布は、波浪の影響をどのように受けるかによって、図41ように海岸から大陸棚までの海底を後浜、前浜、上部外浜、下部外浜、内側陸棚、外側陸棚に区分できます。




図41 海浜-外浜の海底と堆積物の特徴(西村ほか,1993に加筆)



図42 京松原層の地層柱状

 図42に牧ノ原台地更新統の京松原砂層の地質柱状を示します。この地層は、上方に粗粒化して、各堆積相の厚さが上に示した海底の水深に対応しています。このことから、京松原砂層は海面停滞期に堆積空間を埋積した海浜-外浜の堆積物と思われます。


 後浜: 高潮位より上位の海浜の部分で、暴風時に打ち上げられた礫や炭化物が砂にふくまれ、淘汰の悪い堆積物をつくります。

 前浜: 低潮位から高潮位までの間の海浜で、波のエネルギーが堆積物に強く働き、砂や礫は分級されて非常に淘汰がよく、泥質堆積物をまったくふくみません。礫はとくに円磨度がよく、それらが集まり『岩おこし』 状の岩相を呈します。前浜では波の寄せ返しによって砂礫が往復運動をして、海側に傾いた水平またはくさび状層理が形成されます。前浜相の厚さは通常1〜2m程度です。

 上部外浜: 水深0〜6mまでの海底で、沿岸砂州とその陸側の水路からなり、沿岸砂州で砕けた流れと、それがもどるときに海岸と平行の海浜漂流と沖にむかう離岸流など互いに直行する一方向流によって、礫をふくむ粗粒な砂が平板状もしくはトラフ型斜交層理をつくります。

 下部外浜: 水深6〜20mまでの海底で、晴天時波浪限界の水深より浅いので常に泥質堆積物がふくまれず、淘汰のよい細粒砂から構成されます。嵐の波が形成したハンモック状斜交層理が癒着して積み重なっていることが多くあります。

 内側陸棚: 水深20〜80mまでの海底で、暴風時に砂質堆積物が波浪による振動流で堆積し、晴天時には泥質堆積物が堆積するため、砂泥互層が形成されます。砂層は細粒〜極細粒砂で、平行葉理やハンモック状斜交層理、ウェーブリップルの堆積構造がみられます。

 外側陸棚: 水深80〜200mの海底で、暴風時波浪限界より深いため波浪による振動流の影響をうけることがなく、海底は泥質堆積物からなり、暴風時に沖合にもたらされた懸濁した極細粒砂からなる薄層がみられることがあります。生物活動は活発で、生物擾乱や生痕がみられます。

 図43に掛川層群大日層の海浜-外浜システムの地層柱状を東(右)から西(左)へ並べたものを示します。右から3番目の飛鳥では、下部外浜の砂層の上に外側陸棚の砂質シルト層が重なり、急激な海水準の上昇が推定されます。

 その境界は海氾濫面(marine flooding surface)とよばれ、その面の直上には堆積がほとんど行われなかったために形成されるコンデンスセクション(condense section)が見られます。上下を海氾濫面で区切られた地層の連続をパラシーケンスセット(parasequence set)とよびます。

 この図では4つのパラシーケンスが見られ、海水準上昇が段階的に4回起こり、海進が東から西へ進み、東側はより深い海底になったことが推定されます。そして、これらのパラシーケンスセットの形成、すなわち各海水準上昇期に、それぞれの海底環境(外浜〜陸棚斜面)に、特徴的な貝化石密集層が形成されたことが明らかになりました(柴ほか,2012)。



図43 掛川層群大日層の海浜-外浜システムに認められる
パラシーケンスセット(PD)と化石密集層の分布(柴ほか,2012に加筆)

『ホーム』へ戻る


最終更新日: 2014/8/10

Copyright(C) Masahiro Shiba