太平洋
地学双書18


星野通平
地学団体研究会 1962年5月

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 かって,1人の友人から,現在の海洋地質学者は,あまりにも地質をしらなすぎるといわれたことがある。残念ながら,このことは事実として認めなければなるまい。と同時に,陸上の地質を研究している人たちの多くが,あまりにも潅洋のことをしらないのも事実ではなかろうか。

 海洋地質学の第1人者Kuenenは,No Geology without Marine Geolgy とまでいっている。このことは,たしかに,地質学の現状を端的にいいあてたことばと思われる。貌在,国の内外において,海洋地質学に関するかずかずの資料があつめられている。第T章から第V章までは,これらの資料をもとにして,海洋地質学の現状の紹介を行った。

 筆者は,いまから10年ほどまえ,海洋地質学を専攻しはじめて間もなくのころ,“海洋地質学の主要な課題は,大陸と大洋の対立のもとにおける,海水の発展の歴史の解明にある”とかきとめたことがある。第W章では,この点に関し,最近の考察の結果をかんたんにのべた。

 本書は,地質研究者,地学関係の学生,および,境界領域の人たちを対象にしてかかれた。このために,内容がはなはだまとまりのないものになってしまったことを反省している。

 筆をおくにあたって,日ごろご教示ご討論をいただいている,第四紀綜研メソバー,構造地質研究会の諸氏,および,地団研翻訳係の方がたにお礼を申上げる。また,学生諸氏のアソケートを送っていただいた秋葉力,新井房夫の両氏ならびに,出版係の諸氏に深く感謝する。


  1962年1月11日
                    星野通平

    (本書の「はしがき」より)

2001/09/02

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